07, 11, 2020

【ラジオ】漢字練習帳と上原君。中学時代に人が変わる瞬間に出会った話。

2020-07-11に公開
やまぐちせいこ

私の人生の中で思いで分かかった出来事をラジオ形式でお送りしています。中学時代の出来事ですが、当時私の在籍したクラスに上原君という知的障害を抱えた男の子がしました。彼の障害の特性から周囲の男の子たちからイジメや嫌がらせを受ける場面がありました。上原君と嫌がらせをする男の子を変える出来事が1冊の漢字練習帳から始まったお話です。 【動画文字興し 内容】 こんにちは、やまぐちせいこです。 この動画は、ラジオ形式で『我思う、ゆえに我あり。』という哲学者デカルトの名言をもとに、やまぐちせいこが日々思うこと・感じたことをグダグダ話す動画です。 今回のお話は『漢字練習帳と上原君』という私の中学時代の思春期の中…人が変わる瞬間に出会った思い出をお話したいと思います。 ときは遡ること30年前。1990年。 福岡県は福岡市のとある中学校に通っていました。 当時、同じクラスに『上原君』という知的障害を抱えた子が在籍していました。 当時は、小学校も中学校も、あきらかに知的に障害を抱えている…ことが分かる子も在籍していました。上原君は、障害の特性から目立つ行動が多く…。 目立つことで… やっぱりね。 イジメられるんですよ。上原くん。 ただでさえ治安も悪いし、複雑な家庭の多い地域の中学校。 で、彼をイジメていたのがいわゆる『ヤンキー』ではなくて。 どちらかと言うと【勉強がちょっとできるぐらい】のグループの男の子数人。 賢いんで、ハッキリとはイジメないんですよね。 その頃、漢字テストの成績順でクラスの席も決める時期がありまして。その時の担任が体育の教師だったんですけど、なぜか漢字テスト。で、週に1回、担任がテストするんですよ。 すると…上原君。 やっぱり知的にハンデがあるので、どうしても0点取るんですよ。 それをめざとく見つけては、 『おい、上原~!お前0点とかどうやったら取れるんや!  お前の頭、どうなっとるんや~!』 と、テストの答案取り上げて、みんなに聞こえるように言うんですよ。 意地が悪いし、最低ですよね。 その勉強のちょっと男の子が、これまた本当に意地が悪いんですよ。 当時ゴリゴリのヤンキーの子は、学校に来ない。 いわゆる不登校なので、不真面目なヤンキーは学校に来るんですよ。 真面目にヤンキーをやってる子は来ない。 で、勉強のちょっとできる子がストレス発散にイジメまでいかないストレス発散を立場の弱い子にする…。この【勉強がちょっとできる】がポイントで。番強で優等生とかトップには努力するけど行けないんですよね。どうやっても勝てない。今思えば、そういうジメっとしたストレスあったんでしょうね。 ある日、またその男の子グループの子がまた上原君の答案を取り上げて、 『おい、上原~。  どんなだけ頭悪いんや。  お前、漢字の書き方しらんちゃない?  俺が教えてやろうか?』 こういうんですよ。 すると、上原君。 『え?!本当に!  ありがとう!!!!』 キラキラした澄んだ瞳で言ったんですよ。 相手の男の子も、バカにしたつもりで言ったのに。まさかそう返事が来るとは思って無かった。自分が『教えてやろうか』と言った手前と、一番は上原君の純粋な気持ちからまっすぐ 『本当に!ありがとう!』 という言葉に「お前、冗談だよ。」って言えなかったんですね。 そこから男子数名が中休みと昼休みの時間に上原君に漢字の書き取りの練習に付き合うわけですよ。 最初は、面倒臭い。 やりたくない。 途中、「こんな字も書ききらんとや。」とか嫌味を言いながらも付き合っていました。 漢字の書き取りの宿題も出して、次の日チェックする。 週に1回。席順を決める漢字テストがあって。 上原君。テストを受けるんですよ。 するとね・・・・。 上原君、0点だったのが30点取れるようになった。 ものすごい、上原君、喜んで。 体全部使って、やった!やった!って喜んで。 漢字を教えてくれた男の子達に「ありがとう!」って喜ぶ。 男の子も、そんなに真っすぐ自分がしたことで「ありがとう!」なんて言ってもらえることがなかったのか、 「お前、まだ30点やろうが。まだ全然ぞ。」 そこから、教室の片隅で上原君に漢字を教える男の子たちの様子がありました。 上原君の生来の真っすぐさか、30点、50点、70点…気がつけば100点!取るようになったんですよ。その様子を片目でみていた私も「…すごい!」と思っていました。 そこから月日が少し流れて3学期に入ったある日。 上原君が転校することになったんですね。 やはり知的障害というハンデがあり、親御さんがここからは特別支援学校が良いだろうと判断したようです。で、担任から上原君のお母さんから手紙があり、上原君の登校最後の日に読んでくれました。 「1年1組のみなさん。  上原の母です。短い期間でしたが、息子と仲良くしてくれて、ありがとう。  少し変わったこの子と沢山遊んでくれてありがとう。  特に2学期。  漢字の練習に付き合ってくれて、ありがとう。  息子が毎日、嬉しそうな顔をして学校から帰り、 学校であったことを一生懸命話してくれました。  漢字練習帳に書いた文字は1つ1つ大切な思い出として、 次の学校へ持っていきたいと思います。 素敵な1年1組のみなさんの未来が輝くものになりますように。」 この出来事で、中学生の私が思ったのは、 純粋な心は、人を変える。 ということですね。 最初は、上原君をバカにしてイジメていた男の子達でしたが上原君の転校のとき…泣いてたんですよ。まっさらな心に人は触れると、人は変わるんだな…と思いましたね。周囲が男の子たちに「イジメなんかするな。やめろ。」って言わなくても、上原君自身の心の内側にある真っすぐさが、人を変えようとせず、人が変わる。 この出来事は、私の人生の中でも思い出深いエピソードでした。 誤解して欲しくないことは、美談になってしまうと 「障害者は、純粋無垢で心が美しい。」ということを伝えたい訳ではありません。 当時、他のクラスにも障害を抱えた子がいましたが、 下駄箱で靴を履いていた女の子の耳をなめる・胸を触るなど。 問題行動のある子もいました。 大人になると「コミュニケーションの技術」のように、人と関わるテクニックのようなモノが沢山ありますが、本物にはかなわないと感じました。上原君と過ごした1年1組のことを時折降りに思い出す…わたしの多感な時期に起きた出来事の一つでした。 それでは「われ思うゆえに我あり。」 また、次回お会いしましょう。